2012年4月3日火曜日

誰かを笑顔に

昼前お会いした老婦人が突然うなだれて、ため息まじりに呟かれた。

「疲れた…精神的に…」
心の重荷に押し潰されそうなご婦人を見て、ふと今朝観たテレビ番組を思い出した。
的外れな話かもしれないけれど、私は勇気を振り絞って切り出した。
「私、今日は遅番で、出勤前に『はなまるマーケット』を観たんです。瀬戸内寂聴さんが出演されて、こうおっしゃっていました」
「人は死ぬために生きてる。いつか必ず死ぬんだから。じゃあ、なんで生きてるかというと、誰でも必ず誰かの役に立っていて、知らないところで誰かを笑顔にしているから」
顔を上げて私の話に耳を傾けていたご婦人は、私が話し終わると、こう言った。
「ええ、私がいると、孫が喜んでくれます。それに私、ボランティアもしているんです」
私は何も言わずに微笑んで、うなずいた。
ご婦人は続けた。
「何かを始めるのは大変だけど、辞めるのはもっと大変。今それがわかった。ほんとに今…」
「そうですね。辞めるほうが大変かもしれません」
ご婦人の中で、何かはっきりと答えが見つかったのがわかった。
心なしか晴れ晴れとしているように見えた。
寂聴さんの言葉は、私自身へのメッセージでもあると思った。
私が話したことで、見ず知らずのご婦人の心を軽くすることができたのだから。
私も何かしら、誰かの役に立っていて、誰かを笑顔にしているのだ。















1 件のコメント:

Kumiko さんのコメント...

寂聴さんの言葉は、心の救いですよね。
何かにつまづいた時、寂聴さんの言葉を思い出したいです。