毎朝、少なからず疲労感を覚える今日このごろです。
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ドラマの中でヒロインは、祖母のことを陰で「ベッチャー」と呼んでいます。
「ベッチャー」というのは、
毎年11月1日~3日に尾道市内中心部で行われるお祭りのことです。
http://www.ononavi.jp/sightseeing/event/detail.html?detail_id=211
ドラマの中では、「ベッチャー=鬼」という設定になっていますが(恐らく便宜的に)、厳密には違います。
「ベッチャー」とは、お祭りの呼称で、三匹の鬼はそれぞれ「ベタ、ソバ、ショーキ」と呼ばれます。
三匹の鬼と獅子(正月の獅子舞いみたいな)が、市内を練り歩き、民衆を棍棒で突いたり、ササラで叩いたり、獅子頭で噛んだりします。
そういった、鬼と獅子からの仕打ちを受けると一年間、無病息災でいられると言われています。
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私は、ベッチャー祭りが行われる吉備津彦神社(通称、一宮神社)の近くで育ちました。
ベッチャー祭りの思い出というと、一般的には、三匹の鬼と獅子に追い回されたことが挙げられます。
しかし、私の場合、そういった思い出は一切ありません。
というのも、私の祖父は生前、一宮神社の氏子総代をしていたので、ベッチャー祭りのとき、私はいつも裏方を手伝っていたからです。
とにかく朝が早かったのと寒かったのが、印象に残っています。
私は、いつも飯炊きの手伝いをしていました。
崖の際(屋外)に石を組んだカマドがあり、そこで寒風と煙を受けながら火の番をしました。
火の前にいても指先や足先がかじかむほど寒かったけれど、そこから見る日の出は本当に美しかった。
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氏子の男衆は、社務所で朝御飯を食べたあと、それぞれ祭りの装束に身を包んで市内へ繰り出します。
男衆が出て行き、一通り食事の片付けが済むと、やっと私達も朝御飯にありつけました。
それは昼も夜も同様で、私はベッチャー祭りの三日間、一度も温かい御飯を食べたことがありませんでした。
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もうひとつ、ベッチャー祭りにまつわる思い出があります。
祖父は、祭りが近くなると(ちょうど今くらいの時期)、祭りで鬼のベタとソバが持つ棍棒を作りました。
私が小学校から帰ると、祖父は黙々と、1mほどの長さの竹筒に赤と紫の細長い和紙を何重にも巻き付けていました。
鬼の面の色付けをしていたこともありました。
そういう祖父の姿を見ると、「ああ、もうすぐベッチャー祭りだなぁ」と思ったものです。
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NHKの朝ドラで取り上げられて、今年のベッチャー祭りは観光客が増えて賑わうかもしれませんね。
天国にいるおじいちゃんも、きっと喜ぶでしょう。
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