SPさんに制されて、楽屋口に入るのを遠慮していると、大ホールでの講演を終えた津川さんが出ていらした。
グレーのスーツにオレンジ色のマフラーをした津川さんは、大御所のオーラを放ちながら、ゆったりと階段を降りてらした。
ハイヤーのドアの前で足を止められた津川さんは、ふと私に目を向けられた。
不思議そうに私を見つめる津川さん。困惑する私。
しばし見つめ合ったものの、津川さんは何も言葉を発しないままハイヤーに乗り、会場を後にされた。
ハイヤーが見えなくなって、私は楽屋口に入った。
津川さんが私を見つめていたことが気になったので、バレエの友達に話してみた。
津川さんはきっと私を、サインをもらおうと出待ちしているファンだと思ったんじゃないか、そのわりに近寄ってこないから不思議に思い、見つめていたのではないか。
予想外の答えに、私は更に困惑した。
もしそうだとしたら、サインも握手も要求せず、ただ離れて見てるだけというのは、逆に失礼だったかもしれない。
津川雅彦さん、失礼しました。
またいつかお会いしたら、そのときは、お声をかけさせていただきます。
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