2008年3月30日日曜日

モーツァルトの音域

筑波大学に勤め、脳の神経伝達物質の一種で"快感物質"と呼ばれるドーパミンを研究している須藤伝悦氏の話。
(2008/3/30、讀賣新聞朝刊)


共同研究者の女性が、自宅でピアノを弾くと、モーツァルトの時だけ、ペットのラットがおとなしいという。
ものは試しと、実験用のネズミで調べてみた。
有名な作曲家の作品を100曲ほど聴かせたところ、モーツァルトの若いころの作品に、ネズミをおとなしくさせるものが多かった。


この時、脳内で一時的にドーパミンの合成が促進され、血圧も低下していることが判明した。
一定の周波数領域を抽出して聴かせる実験では、高音域がドーパミン合成を促す効果を持つことを突き止めた。


「他の曲でも高音ならドーパミンは増えますが、モーツァルトは、美しい曲の中に高音域を豊富に取り込むことに成功したということでしょう」と解説する。


音楽療法の世界では、高周波数の音は、胎児が子宮で聞く母の声や血流音に似ているため、癒し効果が高いとの説がある。
それを支持する結果でもある。


なぜモーツァルトは高音を多用したのか。
「様々な状況証拠から、彼はドーパミン欠乏によるてんかん症だったのだと思います。無意識のうちに、ドーパミンが増える曲を作っていたのでしょう」と推理する。


とても興味深い結果だ。

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