その料亭は庭に滝があることで有名なのだが、イマイチ私の好みではなかった。
古い寂寥感のある庭は好きだけど、そこの庭には違和感があった。
その理由が何なのか、釈然としないまま私は食事を終えた。
さきほどNHK教育「趣味の園芸」で、京都の日本庭園を取り上げていた。
迎賓館の庭園(写真)を手掛けた造園家の藤右衛門さん(名字は失念)が、
椅子席の藤の間、座敷の桐の間、それぞれ案内しながら解説していた。
藤右衛門さんいわく。
「庭は、部屋にいる客の視点で造る」
だから、何度も何度も正客の視点から庭を眺める。
当たり前のことだけど、当たり前のことほどできない。
頭でわかっていても、体が伴わないことは、往々にしてある。
昨日訪れた料亭は、数年前に建物の一部を改装している。
かつては庭を囲むように廊下があった。
しかし今は庭に面してすぐ部屋があり、床も畳から板間になった。
かつて廊下を歩きながら見下ろした庭は、今は部屋の中から椅子に座って眺めることになった。
視点が変わったのだから、それに合わせて造作も変えるべきではなかったか。
私の抱いた違和感は、それが原因だろう。
長く続いたものを変えるには勇気が要る。
でも変わらなければ進歩はない。
0 件のコメント:
コメントを投稿