2011年9月25日日曜日

それぞれのまなざし




先日、三次市の奥田元宋美術館に行きました。

「それぞれのまなざし 大名家伝来人形&絵絣・襤褸(らんる)展」

出雲市出身の坂口真佐子さんが所蔵していた人形「素鳳コレクション」と、
東広島市出身の水野義之さんが収集した襤褸と呼ばれる古布「寶水コレクション」です。

襤褸(らんる)とは、つぎはぎだらけの布のことです。

布製品が高価だった頃、一枚の布製品を当て布を繰り返しながら大切に使い続けていたそうです。

そのつぎはぎ具合や色柄の組み合わせが、外国人から見ると面白かったらしく、
「BORO」と呼んで、アートとして捉えたそうです。

展示会場では、つぎはぎだらけの布がいくつも天井から吊り下げられ、壁面に貼られていました。

その様子は、さしずめ前衛アートのようでした。

そういえば、そういう古布を展示する日本人芸術家がいたように思います。

大名家伝来人形のほうは、どれも愛らしく、意匠が凝っていて、大切にさていれたことが伺えます。

羽織っている着物は豪華な刺繍が施され、柄の大きさや配置などから、人形用に誂えたことが見て取れます。

人間が着るものなのに、つぎはぎだらけの布を使わざるをえない世界もあれば、
人形が着るものであっても、わざわざ職人に誂えさせる世界がある。

「それぞれのまなざし」という展覧会のタイトルの意味は、そこにあるのかもしれない。

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