2010年12月6日月曜日

熊川哲也さん

昨夜の「情熱大陸」は、バレエダンサーの熊川哲也さんでした。


私が熊川さんを初めて見たのは、
1989年のローザンヌ国際バレエコンクールのテレビ放送でした。


ドンキホーテのバジルのヴァリエーションを踊った熊川さんは、
技術力、表現力、スター性、どれも出場者の中で群を抜いていました。
コンテンポラリーヴァリエーション次第で、金賞もあり得ると思いました。


日本人はコンテンポラリーが苦手なのですが、
熊川さんは、まるで水を得た魚のようにイキイキと踊っていました。
クラシックヴァリエーションよりも素晴らしい出来でした。


『この人が金賞だ。そうじゃなかったら、東洋人に対する偏見だ!』
そう思ったのを覚えています。
当時はまだファイナリストの大半が西洋人でした。


ローザンヌ国際バレエコンクールは、
出場者の中で最高位であっても、実力が達していなければ金賞は与えられません。
熊川さんは、その厳しい基準をクリアし、東洋人で初めて金賞を受賞しました。
確か、金賞の受賞者が出たのは数年ぶりだったはずです。
私は「クマカワ」という名前を脳に刻みつけました。


それ以降、「あのローザンヌで金賞を獲ったクマカワって人は、どうしてるだろう」と、ずっと気になっていました。
数年後、私は、熊川さんの活躍を新聞で知ることになりました。
東洋人で初めて、イギリスのロイヤルバレエ団のプリンシパル(最高位ダンサー)に昇格したという記事でした。


私は別段、驚きはしませんでした。それどころか、
「思ってたより時間がかかったな」というのが正直な感想でした。


あれから約20年。
テレビで観る熊川さんは、相変わらずの俺様キャラで嬉しくなりました。
あの様子なら、当分引退とは無縁でしょう。


これからもバレエ界で攻め続けてほしい。

芸術とは、攻めるべきものだから。

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