これから先、語り継がれるに違いない印象的な場所だった。
中盤まで関脇昇進時以来の連勝をしていながら怪我で休場した安美錦関。
その兄弟子の無念を晴らすかのように快進撃をし、優勝争いをした照ノ富士関。
その弟弟子の優勝への援護射撃をするべく、満身創痍ながら白鵬との一番で粘りに粘って奮闘した日馬富士関。
残念ながら日馬富士関は負けてしまい、賜杯は白鵬に渡すことになってしまった。
しかし、弟弟子の為に精魂込めて闘った日馬富士関に、客席からは健闘を讃える拍手が起きた。
終盤、優勝争いをする照ノ富士関に励ましのメッセージを送り続けた安美錦関。
支度部屋のモニターで結びの一番を見詰める照ノ富士関の肩には、安美錦関の名入り浴衣が掛けられていた。
その様子を見ながら、私は、日馬富士関が横綱昇進を決めたときのことを思い出していた。
それまでの素行などから二場所連続全勝優勝でなければ横綱昇進させないという厳しい条件を突き付けられた日馬富士関。
文句無しの全勝優勝で横綱昇進を決めた日馬富士関が、花道に下がった瞬間、険しかった顔がホッと安心した笑顔に変わった。
視線の先にいたのは、安美錦関だった。
そして二人は歩み寄り、抱き合った。
お互いの感謝の気持ちが溢れているように見えた。
今場所は伊勢ヶ濱部屋の力士の絆の深さを改めて感じた場所だった。
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